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働き方改革推進の留意点

No.615 | 2021年7月号

今月の視点

政府の強力な政策もあり、働き方改革担当大臣や働き方改革実現推進室が設置された2016 年以降、働き方改革への取り組みが加速した。残業時間の削減や生産性向上を目標にさまざまな取り組みが実施されている。しかし、目標だけ独り歩きして方法論が伴っていないケースやI T ツールや環境整備のための投資が十分行われない事例も散見され、コロナ禍以前は、働き方に対する意識も含め抜本的に業務や働き方を変えた事例はそれほど多くはなかったと考えられる。
このような中、新型コロナウイルスが流行し、程度の差はあるものの、ワークライフバランス実現のためのシンボル的な制度であるテレワークを、多くの企業が経験することとなった。働き方や業務のあり方について改めて考える機会になったと捉えることもできる。
一方で、テレワーク拡大に伴う生産性の低下やコミュニケーション・組織の一体感の希薄化といった問題も提起されている。ポストコロナも見据えた今後の働き方改革推進の留意点について、2社の事例から考えてみたい。

1 働き方改革に対するコロナ禍の影響

 近年、政府の働き方改革に対する各種取り組みや関連法案の整備(表1参照)、また日本の労働人口の減少や先進国の中での低い生産性等を背景として、大企業を中心に多くの企業が働き方改革に取り組んできた。
 日本経済団体連合会が会員企業他 491 社から回答を得たアンケート調査によると、総実労働時間(所定内労働時間と所定外労働時間の合計)は 2017 年から 2019 年まで2年続けて減少している(図1参照)。しかし、推進状況は企業規模によって差異があり、2019 年では、最も総実労働時間が少ないのは従業員 5,000人以上の大企業であった。また、各種報道や各社のHP で紹介されている改革内容を見ると、以下のような取り組みが主であったと考えられる。

● 長時間労働是正のための各種施策
● ライフワークバランス実現のための在宅勤務制度や育児休暇制度といった各種制度の創設や充実

 このように、コロナ禍以前においては、総実労働時間は継続して減少し、また関連する各種制度の整備は進展した。一方で、例えば、生産性向上のための方法論が十分議論されないまま、残業時間削減目標が設定され、結局、自宅に持ち帰って仕事をするといったような話に代表されるように、実質的に改革が進んでいないケースもしばしば耳にした。長時間労働是正のための施策も、会議時間に制限を設けることや業務の縮小または廃止が中心であり、業務そのものや仕事に対する意識を抜本的に変える、そしてそれによって社員の満足度を向上させ、さらに企業としての競争力を大きく高めるといったような取り組みは、多くの企業にとってはまだ道半ばといった状況であったと考えられる。

 このような状況下、昨年からの新型コロナ感染症の流行により、余儀なく在宅勤務という形を取らざるを得ない状況を経験することとなった。
 東京都が都内の従業員 30 人以上の企業を対象に、令和2年6月に実施した調査結果によると、「在宅勤務を導入している」または「今後予定あり」の企業は回答企業の 70%以上に上り、令和元年の調査の約 46%を大きく上回っている(図2参照)。
 特に、テレワークを初めて導入する企業にとっては、インフラ整備や IT ツールの活用などの課題はあったものの、予想以上に大きな問題も発生せず、実施できたというのが実感ではないだろうか。
 東京都の同じ調査によれば、今後も、「テレワークを継続・拡大したい」「継続したいが、拡大は考えていない」とする企業の割合が 80%を占めているとのことである。
また、ポストコロナの働き方を検討し、ホームページ等で公表している企業も多い(表2参照)。事業内容によっても差異はあるが、各社ともコロナ禍以前の環境には戻らないことを前提に、在宅勤務の継続やサテライトオフィスの活用を表明している。加えて、さらなる生産性向上のための継続的な取り組みを掲げている会社もある。コロナ禍以前の長時間労働を是正することが中心の取り組みから、さらに一歩踏み出した取り組みが表明されている。
 一方で、テレワーク拡大に伴い、コミュニケーション不足や部下のマネジメントの難しさといった組織運営上の問題もしばしば耳にする。今後、働き方改革を一層推進していく上で留意すべきことは何か、以下2社の事例をもとに考えてみたい。

2 A社の事例

(1) 働き方改革取り組みの背景

 A社は、環境機器の製造販売を行っているメーカーである。先代のオーナー社長の経営手腕と、昨今の環境に対する社会的な関心の高まりにより、順調に業容を拡大し、現状従業員数は2,000 名を超えている。

 A社では、業容の拡大に合わせ定期的に新卒者の採用を実施してきた。ここ数年は、製品の多様化や新規事業展開のため、社内にはない技術を有する人材や、海外展開を加速させるための外国人の採用が課題となっていた。このため、処遇面とともにさまざまな人材が働きやすい環境を整備する必要があった。
 また、A社はこれまで少数精鋭を基本方針としていたため、社員の業務負荷も高く、部署によって差はあるものの、少なからず残業も発生していた。社員数の増加に伴い、途中退職者も増えていた。このような社内的な背景と社会的な流れもあり、A社は働き方改革への取り組みに着手した。

(2) 働き方改革への取り組み

 A社は、他社と同様に、残業時間の削減と社員のライフステージに応じた多様な働き方を選択できる制度の導入を中心に検討を開始した。トップ方針として残業削減目標が設定され、プロジェクトを立ち上げて全社的な取り組みとして推進した。主要な内容は以下のとおりであった。

①残業時間の削減
 残業時間の削減目標を設定し、各部署単位で目標達成のために下記のような取り組みを行った。
● ノー残業デーの設置
● 会議体と会議運営方法の見直し
● 残業時間の目立つ社員への働きかけ

② 働き方の自由度を高める各種制度の見直し・導入
● 育児介護休暇/休業の日数延長
● 有給休暇の計画的付与
● 短時間勤務制度及び在宅勤務制度の導入

 この結果、残業時間は、取り組みをはじめてから1年間で当初掲げた削減目標を達成した。働き方の自由度を高めるための各種制度に関しても、会社の制度利用促進の働きかけもあり、目標に近い利用回数となった。

 このような中、新型コロナが流行し、A社も本社、営業所を中心に出社比率の目標を設定してテレワークを実施した。IT環境の整備や社員へのテレワーク機器配付などの各種支援策も比較的早期に着手し、工場の現場部門や現物を確認しないと仕事ができない部門を除き、各部門でテレワークを推進することができた。

 A社は、最初の緊急事態宣言が解除された後、ポストコロナを見据えて今後の働き方に関して検討を行った。これまで推進してきた働き方改革の評価と、今後テレワークをどのような位置づけとして考えるか、そしてそのための課題が重要な論点であった。このため、働き方改革に関して社員がどのように感じているか、また今回のテレワークをどのように捉えているかがポイントと考えた。数年前に社員満足度調査を実施していたが、再度実施することにした。

(3) 社員満足度調査の結果

 テレワークに関しては、比較的前向きな回答が多かったが、一方で、部下のマネジメントや評価、コミュニケーションの難しさを指摘する意見もあった(表3)。

 また、労働条件や関連制度に関する評価は、制度の充実を図 ったこともあり、前回調査に比べ向上した。自由記入欄にも、「働き方の柔軟性が増す制度が多く導入され、よいことだと思う。」「有給休暇取得奨励により休暇を取りやすくなった。」との意見があった。

 一方で、モチベーションに関する指標は、前回調査に比べおしなべて低下していた。自由記入欄には、以下のような、一人で仕事をする時間が長くなったことによる不安や弊害を問題提起する意見が散見された。

● 一人で業務することが多くなり、新しい仕事の場合、特にこれでよいかどうか不安を感じることが時々ある。
● 働き改革で会議時間が減り、さらにコロナでWeb 会議になり、議論が一層があっさりしたものなっている。
● 社内で横断的にチームで取り組む機会が少なくなった。他の部署が何をやっているかわからなくなった。

 A社は、組織上所属している部門以外に組織横断的な複数のチームに所属している社員も多く、正式なプロジェクト以外に、有志による研究会やサークルも存在していた。人事部が個々の従業員にヒアリングしてみると、これらの非公式のチームが残業抑制により徐々に減少しており、コロナ禍の下、その傾向が加速していることがわかった。
 創業者の方針もあり、A社にはざっくばらんに議論する風土があった。創業者は現場によく出向き、社員と議論や雑談をすることもしばしばあった。非公式のチーム活動から、さまざまな改善への取り組みがなされてきたこともあり、これらがA社の組織活力の源泉の一つとなっていた。調査を担当した人事部は、こうした良さや風土が損なわれていくことを今後放置しておけば、組織力に大きな影響を及ぼしていく可能性があると考えた。今後も一定程度のテレワークを前提とした仕事のすすめ方と環境を整えることや、継続して生産性を高めるための業務の見直しを行っていくことと併せて、コミュニケーションを軸とした組織活力の維持・向上も、A社にとっては重要な課題の一つと位置づけた。

 この調査結果をもとに、A社はテレワークとオフィスワークを併用する業務体制を前提とした働き方に関する基本方針を整理し(表4参照)、具体的な取り組み施策を検討した。

 同時に、A社の持ち味であった組織活力をより高めていくために、チーム運営やコミュニケーションを軸とした組織運営の強化を狙い、次のような施策を検討し実施することとした。

①コミュニケーションの強化

② コミュニケーションをサポートする部門の設置
● ①に掲げる施策の企画、推進
● 社内の各種プロジェクトや研究会のサポート
● チーム運営方法の研究や、チーム運営力強化のための社内向け研修企画

 さらに、これらのコミュニケーションやチーム活動を活発化するための時間を確保するためにも、働き方改革で進めてきた業務の見直しや効率化の検討を継続的に行うこととした。

3 B社の事例

(1) 働き方改革への取り組み

 B社は、工場向けの生産用機器や電子機器を扱う専門商社である。豊富な取り扱い商品と、顧客の生産現場のニーズや課題解決に合致した商品を組み合わせて提案できる技術力が、顧客の高い評価を得ていた。

B社も数年前から働き方改革に取り組んできた。営業部門の残業時間が突出して多く、営業担当者の人数も多いため、営業力を維持向上しながら残業時間を削減することが、大きな課題となっていた。

 「顧客の現場で見て、話を聞いて、考える」ことがB社の営業の特色であるため、営業に関わる直接業務には多くの工数を費やしていた。特に経験が少ない若手社員は提案書作成に工数がかかり、ベテラン社員に相談する場合も、実際に顧客の問題の状況を説明し、機械の図面やレイアウト図を一緒に見て議論するなど時間をかけることが多かった。

 解決策の一つとして、効率性と収益性の観点から営業対象をもっと絞り込むことを検討した。しかし、優先順位付けの基準が部署によって異なったり、少しでも受注可能性がある案件はアタックしたいということもあって、あまり実質的な効果は出ていなかった。

 その他の施策も検討したものの、仕事の内容を大きく変えるものではなく、効果も限られていた。削減目標が課されていることもあり、一部部署では、納期の確認や契約書のチェックなど、本来丁寧に行わなければならない仕事に手を抜くようになり、顧客クレームも発生していた。このため、以前に比べ組織の活力が落ちているとの声も聞かれるようになっていた。 

(2) コロナ禍を契機とした新たな取り組み

 こうした中、新型コロナ感染症の流行によってB社もテレワ ーク中心の勤務体制となった。営業部門は、多くの顧客から訪問を自粛するよう要請も受けたため、しばらくは営業活動が滞 った。最初の緊急事態宣言が解除されてからは、徐々に営業活動はもとに戻ってきたものの、社長は、今後もコロナ以前の姿には戻らないと考えた。働き方改革もあまり進展していなかったこともあり、これを機に、業務やビジネスのあり方を抜本的に見直し、それに合わせて働き方も変えていくことを決断し、プロジェクトを立ち上げた。

 検討においては、まず前提となる「コロナ以前には戻らない」といった認識や、その他重要な外部環境及び内部環境の認識を社内で共有化した。社長は、コロナ禍以前の働き方改革に対して営業部門を中心に不満や不信感が生じていると感じていたこともあり、内部環境分析の一環として、各部門の業務を、面白さ・やりがいと工数(負荷)という視点から評価した(図3参照)。社員にとってやりがいや面白さを感じられない業務は、効率化・自動化・サービスの縮小・アウトソーシング・廃止を検討すること、またやりがいや面白さのある業務は、社員をサポートできる仕組みやツールの導入を図っていくことを方針に据えた。

 環境認識に基づき、プロジェクトでは今後のあるべきイメージを検討した。
 特に焦点となっていた営業面では、これまでの対面営業を前提としたビジネスモデルから、リモート営業と対面のハイブリ ッド型に変えることを前提に、あるべき姿を議論した。

 前述のように、B社の強みは、顧客の製造現場や抱えている課題にとって最も相応しい部品や機械を組み合わせて提案できる対話力と技術力であった。非効率であっても顧客の現場に行き顧客とじっくり話しながら、商品を組み合わせて提案していく手法は差別化要素となっていた。
リモート営業においてもこの特色を活かせるよう、以下の方向性に沿って検討を行った。

● 提案に必要な情報を効率的効果的に収集、整理し、顧客と効果的、効率的にコミュニケーションできるようにする
● 現場に行かなくても、社内のノウハウや知識を利用し、的確な提案ができるようにする

 前者に関しては、過去の提案における顧客の課題や商品組み合わせパターンを事例集としてとりまとめ、これを材料に顧客とコミュニケーションをとって問題意識や課題を早期に把握できるようにすること、また、後者は過去の提案をデータベース化し、AI を活用して営業担当の提案書検討工数の削減を図る方向で検討をすすめた。これは、若手営業マンを中心とした提案書作成の質の向上にも資するものであった。
 また、IT ツールの導入や活用だけでなく、例えば、ベテランであっても一人ではなく二人以上で案件に対応するといった、営業体制に関しても検討を行った。現場に行く回数が減ることで不要となる移動時間を社内での打ち合わせ時間に使うことにした。
 加えて、業務分析にて、営業担当者の負担感が大きかった営業間接業務も、できるだけ自動化、電子化することで、効率的に残業時間を削減する方向で検討を行い、最終的には図4のようなイメージが固まった。

 今回は、これまでの事業のあり方や業務を大きく変えることになるため、部長クラスを対象に何度も検討会を設け、社長自らが参画、議論する場を設けた。特に営業関連部門からは、当初、「顧客の現場に行かないと仕事にならない」「テレワークでは仕事をしていないのではないかと思われる」などの否定的な意見も出されたが、社長が繰り返し変革の必要を説き、足並みが揃うようになった。
 最終的に役員会で決裁が出た段階で、社長自ら、背景を含めて社員に丁寧に説明することにした。全社一斉説明の後、部門毎に社長が直接またはWeb 会議にて説明し、思いが直接伝わる工夫をした。

 方向性が決まった後、各部門で具体的な施策やツールの検討に着手した。実際に実行に移すためにはさまざまな課題があり、事務局を中心に課題をくまなく洗い出した。その上で、経営資源や時間の問題を勘案して優先順位をつけ、マスタープランとして練り上げていった。部長クラスが前向きな姿勢で検討に参画したことで、若手社員からも多くの意見が出され、2020 年7月から開始したプロジェクトは年内にマスタープラン策定を終了し、翌年から具体的な取り組みステージに移行した。

4 働き方改革推進の留意点

(1) 組織活力への配慮

 ポストコロナにおいても、一部業務は定常的にテレワークで実施できる環境を整えることは、多くの企業にとって対応すべき課題となっている。同時に、A社の事例のように、組織活力への配慮もこれまで以上に留意すべきものと考えられる。組織活力の低下はすぐには大きな問題として現れず、逆に、深刻になった場合はなかなかすぐに対処しにくい問題である。働き方改革における働く環境の整備も組織活力向上に資することになるが、A社のように、実際の組織運営面に着目し、必要な手立てをうっていくことも重要と考えられる。

 組織としての競争力は、組織運営のあり方によって大きく変わる。マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授によれば、組織の成功循環モデル(グッドサイクル)と失敗モデル(バッドサイクル)は図5のようになっている。チーム内で活発なコミュニケーションをとり、ともに考えることで当事者意識が生まれ、チームとして良い結果が生ずるような循環になるとしている。こうしたことを通じて会社で働いていることの誇りや、やりがいを感じ、それも組織活力につながり、結果として生産性を高めることにもなる。A社の強みもそのような組織運営にあったと考えられる。

 また、B社のように、今後の業務のあり方を社員のやりがいや働きやすさという視点で検討することも、社員のモチベーシ ョンを高める方法の一つである。働き方改革のそもそもの目的は、単なる労働時間の是正だけではなく、多様な人材が働くことができる環境を整え、高い生産性を実現することで企業として持続的な成長を図っていくことである。多様な人材が高い生産性を実現していくためには、そこに働く多くの人が高いモチベーションを持つことや、働きがいを感じることが重要である。

(2) 長所を踏まえたあるべき姿の追求

 働き方改革の背景にある労働人口の減少への対応や環境規制などの社会的要請に対する継続的な対応は今後も重要であり、また、デジタル技術の急速な発展によって、ビジネスのあり方や成否を決定する要素が大きく変わりつつある。
 コロナ禍によりテレワークやリモート会議が浸透し、働き方に対する意識が変わりつつある状況を考えると、コロナ禍は、働き方を抜本的に考える絶好の機会とも考えられる。B社のように、コロナ禍以前の長時間労働是正への取り組みから、コロナ禍を機に、仕事の仕方やその前提となるビジネスのあり方をゼロベースで見直して、あるべき姿を追求す企業も多いと考えられる。

 但し、仕事のすすめ方や事業の仕組みを抜本的に見直す場合でも、組織や事業を支えている強みについては「一層活かすためにどうするか」という視点で検討にあたることが重要である。
 B社の場合は、自社の長所である対話力と技術力を活かす方向で検討を行っている。過去の提案や販売事例をデジタル化することでノウハウとして活用すること、また一方で社員のノウハウや知識を活用するためのチーム体制を強化することを検討している。
 抜本的に見直すと言っても、変えるべきことと変えるべきではないことをよくよく考える必要がある。企業競争力の源泉になっている要素を失うことは、結果的に企業活力をそぎ落とすことにつながる。

(3) トップマネジメントのリーダーシップの発揮

 A社は、会社としての取り組みを含め、社長と社員のコミュニケーションを強化する場を今後継続的に設けることとしている。また、B社は、ポストコロナの今後の働き方について、目的や方向性を経営者自ら社員に説明し、コミュニケーションを積極的に図っている。特に、大きく業務のあり方を変えようとしているB社のような場合、「検討の目的」「社内外の環境」「自社の強み」について共通認識を持つことが不可欠と考えられる。
 コロナ如何にかかわらず、事業の方向性や働き方について、トップ及び社員間で再確認しベクトルを合わせることは重要であるが、働き方が大きく変化する場合は、会社の業績やこれまでに経験しなかった仕事のやり方に不安を抱くことが多い。このような状況においては、これまで以上にトップマネジメントのリーダーシップが重要になると考えられる。
 多くの企業が労働時間の是正に継続的に取り組んでいる中、このようなコミュニケーションの機会に多くの時間を使うのは、一見、その流れに逆行するように見える。しかし、経営層から会社のビジョンや方針について十分な情報提供がなされなければ、現場におけるミスコミュニケーションや無駄が発生し、結局経営層が想定した方向や深さまで改革が進行しない可能性も高くなる。
 逆に会社の方向性や仕事にあり方についての、社員とトップマネジメント層との密なコミュニケーションにより、自分の仕事が意味付けられ、やりがいを改めて感じるということも考えられる。今日のような環境変化が激しく先が見通しにくい状況下では特に、トップマネジメント層が明確に方向性を示し、組織のベクトル合わせることが企業の成長には大切になる。