企業理念の浸透や組織風土の改革は一朝一夕にはできません。企業の体質に深く根ざしているからです。体質を変えるには強い意志と明確な方法論をもとに息長く取り組むことが不可欠です。戦略や組織・制度の改革からアプローチするだけでなく、人の意識に直接働きかけるアプローチも必要です。日本経営システムはさまざまなアプローチを視野に入れ企業理念の浸透や組織風土改革に取り組みます。
組織風土改革へのアプローチの視点
1.「戦略」「仕組み」「意識」三位一体の改革
組織風土を改革するには三つの要素が必要になります。 一つ目は「1.戦略を変えること」、二つ目は「2.仕組みを変えること」、三つ目は「3.社員の意識を変えること」。 三つの要素は同時に行われることが必要ですが、もっとも基本になるのが「3.社員の意識改革」です。 意識改革のためには以下に紹介するハードとソフトの両面からのアプローチを息長く続ける努力と工夫が不可欠です。
2.ハードとソフトの二つのアプローチを効果的に併用
組織風土を改革するにはハードアプローチとソフトアプローチの二つのアプローチ方法があります。ハードアプローチは「目に見えるものをまず変えて、目に見えないものを変えるきっかけにする方法」、ソフトアプローチは「目に見えないものに直接アプローチして、徐々に変えていく方法」。どちらの方法だけで十分ということはありません。二つのアプローチを効果的に組み合わせて、相互のダイナミックな関係を築くことが大切です。
ハードアプローチ
目に見えるもの(ハードな部分)をまず変えて、目に見えないもの(ソフトな部分、たとえば社員の意識など)を改革するきっかけにする、あるいは、目に見えないものが結果として変わるようにする方法。
例)
職能別組織から事業部制組織に改編し、自律的な組織単位にする 人事考課や業績評価の基準を変えることによって人の行動様式を変える促進要因にする。
ソフトアプローチ
「目に見えない部分」に直接アプローチして徐々に変えていくという考え方。 とらえどころがない部分なので時間がかかるかもしれないが、 個々人の主体的な意思に基づいて少しずつ改革していこうという方法。
例)
「オフサイトミーティング」がその一例。 気づきの段階から問題解決の段階へどう転化させるかが課題。
3.ソフトアプローチの工夫 ~ 不十分な全員参加でなく十分な主体的参加
ソフトアプローチでは上から変えるという発想でなく、一人ひとりの社員が主体的に変わるという視点が大切です。「一人ひとり」といった場合にマスでとらえるべきではありません。全体をマスでとらえて「全社一丸となって」「一人も漏らさず」という考え方にはそもそも無理があります。
少数かもしれないが改革マインドを持つ人の意欲を引き出して改革の流れをつくり出すこと、情報はすべての人にオープンにして(一人が)変わるのを待つという姿勢が必要になります。
一人ひとりの主体性に立脚して地道な工夫を継続することがソフトアプローチのもっとも重要な要件です。